【歯の健康】歯は資産価値は2,000万以上!何故そこまで価値があるのか?歯の健康が大事な理由について解説

歯の資産価値は2,000万、もしくは1本100万と言われているのはご存じでしょうか。実際、何らかの理由で相手の歯を折る、抜いてしまうようなことがあった場合、対人賠償請求で1本につき100万ほど支払わなければならないようです。(もちろんケースにもよります)

この記事では何故そんなにも歯の価値が高く見積もられているのか、歯の健康維持が何故大事なのか、その理由について解説していきます。

歯の欠損によるデメリット

歯の本数で食べられるものが変わる

大人の永久歯は32本あり、親知らずなどを抜いた人の場合、28本あります。歯の本数はQOL(生活の質)に大きく関わり、そのうちの一例が「食事」です。
歯の本数が減ると、食べられる食材、食品が減っていきます。およそ20本以上の歯があればほとんどの食材、食品を食べることができますが、それを下回ると硬い食品、食材、を食べることが難しくなり、歯が5本以下にまで減少すると、舌でも潰せるような柔らかいものしか選択肢がなくなってしまいます。

普段はあまり意識しませんが、人は食事する際に歯ごたえ、噛んだ時の音などを無意識で楽しんでおり、これも歯の本数が減ることでその楽しみが減少してしまいます。

歯の本数 食べられるもの
0~5本
うどん、バナナ、茄子のお浸し
6~17本
豚肉、かまぼこ、れんこん、きんぴらごぼう、せんべい
18~28本
たこ、いか、たくあん、フランスパン、堅焼きせんべい

私自身、抜歯を伴う歯科矯正を行いましたが、隙間を埋める間、奥歯が2本(上下で4本)しか使用できず、この間は硬いものや、上記の通り、たこ、イカなどが食べられず、疑似体験ではあったものの、やはり多くの歯は残したいと感じました。

■歯科矯正(抜歯後)の参考図

歯科矯正による抜歯で一時的に食べ物が食べられない図

好きな食べ物を噛める(食べられる)ということは生活の質に直結し、楽しく食事をする基本であり、健康的な生活にもつながります。

身体機能の低下

歯の欠損により、食事量が減ったり、咀嚼しやすい食べ物を選びがちになり、栄養が偏ります。栄養の偏りは年齢を重ねるごとに深刻になり、筋力の低下、フレイル(加齢に伴う心身が老い衰える状態)になる可能性があります。

また、咀嚼には大事な機能があり唾液の消化酵素を増やし、消化の手助け、また抗菌を行いますが、咀嚼が上手く出来ない場合、消化器官に負担をかけるため消化不良や、抗菌の観点では風邪、口臭の原因にもなります。その他にも脳の血流減少、覚醒作用や認知機能、記憶力などにも影響を及ぼすと言われています。


このようなことから、歯を残すことが大事とされており、日本歯科医師会は「8020運動(80歳で20本を残す)」ことを提唱しています。
令和3年の「国民健康・栄養調査に基づく歯数および咀嚼状況に関する年次推移に関する研究 」では歯の健康維持による健康格差がどれだけあるのか、実態調査しています。こちらも面白いので、お時間があれば読んでみてください。

上手く話せなくなる(発音障害)

歯が抜けてしまった箇所から空気が抜けてしまったり、舌が上手く動かせず、思ったように発音できなくなります。これにより上手く喋ることが出来ず、相手にも伝わらないことがストレスとなります。

嚙み合わせが悪くなる

歯は動きやすく、隣の歯が欠損することで、欠損した方へ傾きます。傾くことで噛み合わせが悪くなり、

・噛む度に顎がずれる(顎関節症を引き起こす)
・筋肉の偏りや筋力低下(老け顔、たるみの原因)
・見た目のバランスが崩れる(歯並び、顔の輪郭への影響)
・他の歯に負荷が集中する(残っている歯の寿命を縮める)

など、悪循環に入ってしまいます。

歯の役割と仕組み

それぞれの歯の役割について解説しました。番号を参考に読んで頂くとわかりやすいと思います。

成人の歯の役割と歯の数え方

噛み切る(切歯)

中切歯(①)、側切歯(②)は食べ物を噛み切る役割があります。

切り裂く(犬歯)

犬歯(③)は食べ物を細かく裂くことができる歯です。ちなみに上あごの③は「糸切り歯」とも言い、眼球下までしっかり伸びている歯で上あご全体の歯のバランスをとっていると言っても過言ではなく、上あごの歯全体の耐久力、寿命にも関わってきます。

すり潰す(臼歯)

第1小臼歯(④)、第2小臼歯(⑤)は、上下のあごの固定に役立ち正しい噛み合わせの基準置になると言われているいます。第1大臼歯(⑥)、第1大臼歯(⑦)は食べ物を噛む上では最も重要とされている歯であり、つまり、この歯を失うことでQOL(生活の質)は著しく低下します。

よく使用する歯のため、虫歯になりやすく、かみ合わせが悪い人の場合、負荷がかかりすぎて割れやす歯でもあります。

親知らず(臼歯)

第3大臼歯(⑧)は別名親知らずとも呼ばれており、第1大臼歯、第2大臼歯同様、非常に重要な歯です。しかし、重要だったのは大昔、人が狩猟をしていた時代。現代では食品加工技術も、食料、食材に溢れており、硬いものを食べる必要(機会)がなくなったため、退化し、ほとんど使われることがなくなりました。

親知らずの語源は親が亡くなった後に生えてくる歯、つまり、永久歯として生えてくるのは一番最後になり、20歳前後になって生えてきます。

そのため、生えてくる頃には歯のスベースがなく、傾いてしまうケースも少なくありません。

歯が傾くことで噛み合わせ悪化の原因、隣の歯(第2大臼歯)の虫歯、歯周病の原因にもなるため、他の歯への影響が懸念される場合は抜歯する人が多い歯でもあります。

 

歯が欠損してしまう理由、原因

虫歯

虫歯とは、糖質、虫歯菌、歯垢(歯の汚れ)の条件が整った時に骨を溶かし、徐々に歯を崩壊させる病気のことです。歯の質や口腔内の免疫に左右される場合もありまあすが、虫歯菌が好物としている甘いものをよく食べる人や、歯磨きする際、磨き残しが多い人がなるとされます。

骨が溶けると神経に刺激を感じ、痛みを感じたり、虫歯を放っておくと神経にまで進行し、激痛を感じます。

歯周病

30歳以上の成人約80%がかかっていると言われる歯周病。細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。歯周病の怖いところは虫歯と異なり、症状が進行していても傷みがなく、定期健診に行かない限り、知識がなければ気付きにくいことです。

歯周病は歯に汚れが溜まると歯肉に入り込み、そこに多くの細菌が停滞、歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりします。歯周ポケットとはこの炎症を繰り返し、歯茎の溝(歯肉溝)が深くなることを指し、歯周ポケットは進行すると膿がでたり歯を支えきれず動揺して、最終的には歯の欠損に繋がります。

健康な歯茎の深さは1~3mm。軽度な歯周病は4~5mm、6mm以上は重度の歯周病です。自分の歯茎の深さは歯科の定期健診でチェックしてもらいましょう。

ちなみに軽度な歯周病であればセルフケアと歯科医院の治療で回復することは可能です。実際、筆者もお恥ずかしいことですが歯周病になりポケットの深さが4mmに。

以下は筆者が歯周病診断されたときの診断表の写真。上に記載されている数字がポケットの深さ(mm)。

しかし、セルフケアと治療で現在では3mm以下になり、改善することができました。体験談ですが、軽度の歯周病の場合、歯茎がやや腫れており、歯を磨く度、クリーニングしてもらう度に驚くほど出血するので、心当たりがあれば早期治療をオススメします。

また、歯周病は歯を失うだけでなく、口臭の原因、様々な病気をも引き起こします。こちらの詳細は後述します。

食いしばり、歯ぎしり

とくに奥歯は体重以上の強い力を出すことが出き、食べ物をすり潰すために非常に重要な役割がありますが、歯ぎしり、食いしばりの癖がある場合、この強い力(負荷)がダイレクトに歯にかかります。これを長期間繰り返すことで少しずつ歯に亀裂が入り、ある日負荷に耐えきれなくなった歯が割れてしまいます。

噛み合わせが悪い

これも食いしばりや、歯ぎしりと同じ理由。嚙み合わせが悪い場合、他の歯に負荷が一方的にかかり、歯に亀裂が入り、ある日割れてしまうことがあります。

ストレス

実はストレスも歯の欠損に大きく関わります。ストレスにより口内環境のバランスが崩れ、歯周病、虫歯を引き起こすことがあります。疲労やストレスを感じた時に奥歯の歯茎が腫れる、炎症を起こす、などの経験はこれまでにありませんでしたか?奥歯のトラブル、つまり、食事をする上で最も大事な歯を失ってしまう可能性があります。

喫煙

たばこに含まれるニコチンは歯周病をひき起こす歯周病菌の発育を促進し、その病原性を高めます。他にも喫煙は全身の免疫力を低下、口腔内環境を悪化させ、歯周病菌に感染しやすくします。

妊娠

妊娠中は、エストロゲン(女性ホルモン)やプロゲステロン(妊娠準備)というホルモンが生理中よりも増加しますが、これらは歯周病菌の栄養素になります。 エストロゲンの増加は、歯周病菌が活発化する原因のひとつでもあり、また、 プロゲステロンの増加は、炎症物質であるプロスタグランジン(子宮を収縮させる物質)が増加を促し、虫歯や歯周病の発症リスクを高めます。

 

歯周病による病気リスク

歯周病は歯茎が下がって歯が支えられなくなり欠損する、口臭の原因になる…様々な口腔内トラブルを起こしますが、口腔内に留まる話ではありません。ここでは歯周病起因の病気について紹介していきます。

肺炎

高齢者(65歳以上)の死亡原因、第1位は肺炎とされていますが、肺炎の中でも、口の中の細菌が肺に入り込み炎症を起こす肺炎を誤嚥性肺炎や嚥下性肺炎といいます。年齢を重ねるについて嚥下する筋力が弱まり、本来食道に入るものが、気管支に入ってしまうことがよくあります。誤嚥性肺炎を起こした患者の肺からは、歯周病原因菌が高い頻度で見つかることから、歯周病と肺炎に強い関連性があるとされています。

糖尿病

糖尿病とは血液中の糖が高まることで血管に負荷がかかり、血管がもろくなってしまう状態を指します。糖尿病自体に問題があるのではなく、糖尿病起因(血管が弱くなること)で他の病気を誘発しますが、毎日の口腔内ケアを怠った場合、糖尿病でない患者と比較すると、糖尿病患者は歯肉炎を起こしやすく、そのまま放置すると重度の歯周病になりやすいと報告されています。

心臓病

歯周病と心臓病には深い相関関係があり、歯周病菌が心臓の血管を詰まらせ、心臓の血管の細胞を傷つけることがアメリカの研究で明らかになりました。動脈硬化症や大動脈瘤にかかった人の細胞を検査した際、その中から多くの歯周病菌が検出され、相関関係にあるとされているようです。

骨粗しょう症

骨粗しょう症の患者は、歯を支えている骨の減少が早く、歯周病の進行が早いという報告があります。また、歯周病で歯を失うことにより、食事バランスが崩れ、身体全体の骨密度が低下し、悪循環が起こりやすい傾向にあります。

早産

歯周病にかかっている妊婦さんは、早産の可能性が高まると報告されているようです。歯周病が進行して歯ぐきの炎症が強くなると、歯周組織のプロスタグランディンというホルモンが増え、このホルモンはじん痛促進剤として使用されています。つまり、歯周病により子宮の収縮、子宮頚部の拡張作用を促すため、早産を引き起こすといわれています。早産であった妊婦の口腔内環境の統計調査すると、重度の歯周病である割合が高く、多量のプロスタグランディンが影響を与えているとされています。

他にもつわり、妊娠による嗜好の変化によって口内環境が変化する場合があります。妊娠中は産婦人科医に相談したうえで妊娠16~32週の適切な時期に歯科検診することをオススメします。

バージャー病

バージャー病とは、とくにアジア圏の30~40代男性に多いとされており、手足の末端の血管が詰まり、炎症がおき、皮膚に痛みや潰瘍をおこす病気です。バージャー病に罹った人は、全員歯周病であると診断され、歯周病の進行度合いは中度から重症のようです。

男性は女性に比べ、歯周病になる人が多く、その理由として、男性は痛みを感じないと診療を受けないといった点です。前述した通り、歯周病には痛みがなく、ストレス起因でも起こりうるものです。そのため、働き盛りの男性が罹りやす病気ともされているようです。


他にも腎臓病、関節炎など歯周病と関連性があるとされる病気は多くあります。

歯の健康を守るために出来ること、対策

定期健診、クリーニング

歯周病は痛みを伴わないため、自覚症状がないまま進んでいる可能性があります。そのため、定期的な歯科検診をすることで、自身の口の健康状態をチェック、虫歯や歯周病予防ができます。虫歯は最短1ヶ月でなる可能性もあり、歯周病菌は3ヶ月で復活することから、歯科検診は3~6ヶ月に1度の頻度で行くことを推奨しています。

歯科検診はお住まいの自治体で無料検診を行っていたり、「歯科検診センター」と契約している団体であれば無料検診を受けることが出来まますので、利用してみてください。

また、歯周病虫歯は生活習慣や普段からよく食べるものにも左右されますが、一番は歯磨き習慣です。定期健診では歯の磨き方を教わることができるので、正しい歯磨き方法を歯科衛生士から教わりましょう。

フロス

なんといっても毎日の歯ブラシとフロスは欠かせません。
歯ブラシで落としきれるのは歯の表面の汚れだけ。歯と歯の間の汚れは取れないため、歯全体の健康を守るためには必ずフロスが必要です。

フロスに慣れない人は「クリニカアドバンテージ デンタルフロスY字タイプ」がオススメ。Y字になっているため、奥歯にも入れやすく、扱いがとってもかんたんです。

フロスに慣れたら、コスパ最強の「フロアフロス」が断然オススメ。

このフロス、口の中(水に触れると)で一気に膨張。歯と歯の汚れをしっかり繊維で絡めとり、汚れを取り除きます。私自身もずっとコレを愛用しています。

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歯磨き

磨き残しは虫歯、歯周病の原因に。歯磨き粉を使用すると爽快感が出るため、実際に磨けていなくても「磨いている感」が出てしまいます。まずは何も塗らずに表面の汚れを取り、仕上げに歯磨き粉で磨くと汚れもしっかり取れ、爽快感も得られるでしょう。

何も塗らずに歯磨きすることに違和感がある場合は振動や超音波で汚れを取る電動歯ブラシもオススメです。

歯科矯正

歯の健康維持に大事なのは、
・虫歯にならないこと
・歯周病にならないこと
・歯の噛み合わせ(歯を欠損させないこと)
書いてきました。

正しい噛み合わせでない場合、歯の欠損リスク(他の歯への負荷)、虫歯、歯周病リスク(歯が重なってる箇所、磨きにくい箇所は汚れが溜まりやすい)が非常に高ります。歯科矯正は決して安くはない費用ですが、未来の健康を考えた際にはお釣りが出るほど安いものになるかもしれません。

 

最後に

いかがだったでしょうか。歯の機能、健康被害を考えた時にみなさんは歯の資産価値について2,000万以上に感じましたでしょうか?

私はもともと顎のスペースに対し、歯が大きいようで歯並びはお世辞にも良いと言えるものではありませんでした。だからこそ、虫歯や歯周病になりやすく、歯の資産価値について考え、歯科矯正に踏み切った人間です。

将来のことはなかなか想像しにくいですが、この記事が歯の健康を考えるトリガー、お役に立てましたら幸いです。